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花粉症 [博士と助手シリーズ]

注)良い子と非花粉症の人は読んじゃダメッ!



「はっくしょーん!」
「うわっ!」
「なんで10mも後ずさる」
「博士、見栄を張ってはいけません。この研究室はそんなに広くありません」
「で、何じゃ」
「博士もいよいよ感染ですか。おめでとうございます」
「何がおめでとうじゃ。赤紙召集かよっ」
「あれ?違うのですか?」
「例の船に1ヶ月も監禁されたんじゃぞ。充分免疫はできている」
「博士の場合、免疫じゃなくて、ウイルスの方が敵前逃亡したのでは?」
「バカを言うな。何にせよこれはあの感染症ではない。花粉症じゃ?」
「カーフンショー?」
「言い直さなくて良い。古代人がばんばか無計画に杉なんか植えたから、現代までに継承されている病気じゃ」
「それはまたおめでとうございます、いよいよ博士も花粉症デビューですか」
「めでたくなんかないっ!デビューしたくないっ!」
「とりあえず、それじゃそういうことで」
「こら待て。そんなわけでマスクを寄越せ」
「またそのパターンかよっ!」
「マスクなしで電車に乗ってくしゃみや咳をすると、その国民性ゆえに流血沙汰が起きるそうじゃ」
「マスクは例によってその国民性、いや無能な政権のおかげで全くありません!」
「君の内ポケットに在庫はないのか?」
「さすがにマスクは作者ですら入手していないほどありません」
「困ったな。そうじゃ、理系の研究棟にあるやも知れぬ」
「理系?」
「奴らは夜な夜な白衣とマスクで棟内を徘徊しているそうじゃ」
「はい?」
「白衣の下は何も着ていないらしいぞ」
「意味がわからない」
「それが彼ら彼女らのスタイルなんだそうじゃ」
「何のスタイルだよ」

♢   ♢

「まったく無いそうです」
「一枚ぐらいないのか?」
「電話で意味不明な数式をまくしたてられ、無いことを証明されてしまいました」
「いやそんなことはない。どこかの助手みたいに、こっそり内ポケットとかに隠しているに違いない」
「どこの助手だよ」

♢   ♢

「で、何です?この状況は」
「しーっ!どこかに隠されているマスクを探すのじゃ」
「泥棒じゃないですか!」
「お、あったぞ」
「あれ、なんかそれぞれに名前が書いてありますよ」
「ん?」
「しかもそれぞれ洗濯した跡が。。。あれ?博士、何泣いてるんです?」
「理系の連中は、その自らのスタイルを堅持するために、一枚のマスクを何度も何度も再利用しているのじゃ。これが泣かずにはおられまい。キジも鳴かずばうたれまい」
「博士、またまた意味不明です」

♢   ♢

「博士宛のメール便です」
「どれどれ。おーっ来た♪」
博士、マスクをする。
「どうじゃ!10万円のマスクだぞっ!えへんっ!」
「ただの使い捨てマスクじゃないですか。どっから入手したんですか?!」
「ふっふっふっふっふっ」
「ってか先程、博士の様な無能な政府が、やっと博士の様な重い腰を上げて」
「私の様なは余計だ」
「国民へのマスクの無料配布が決定したそうですよ」
「はい?」
「はい?じゃない」
「10万円が。。。」
「ついでに、マスクを高額で転売した者も、必要もないのにそれに加担して購入した者も、どちらも逮捕されるらしいですよ」
「必要もないのにって、私は花粉症だぞ」
「花粉症なんぞはウイルスに比べたらたいしたことではない、というのが政府の見解と、国民の一部の世論なんだそうです」
ガチャ。
博士「わ、何だ君たちは」
警察官「博士、不法な転売でマスクを購入しましたねっ?」
博「し、し、し、し、知らないぞ。わ〜た〜し〜はやってない〜♪潔白だ〜♪」
警「ならば、これが証拠だっ!」
アカウント:ハカーセ「考古学専攻のピッチピチの女子大生で〜す♡。マスクを1枚ゆずってくださいね♡♡♡。10まんえんまでオケーで〜す♡」
助手「ピッチピチ?女子大生?ハートマーク?」
博「えーい、黙れ黙れ!」
警「ご同行願います」
博「わ、離せ、離せ」

獄中。
「花粉症はつらいんじゃぞ。くしゅん!」

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